東京高等裁判所 昭和27年(う)2908号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(爭点)
原審は原判示犯罪事実の供用物件の猟銃の従物として実包十四発を沒收しているが、論旨は実包は銃に装填された場合以外は銃の従物でないからこれを本件で沒收したのは違法だと争つている。
(判旨)
被告人が本件犯行において猟銃に実包を装填した事実は認め難く、被告人は単に猟銃を擬して脅迫したに過ぎないのであり実包を当時身辺に携えていたことも亦之を認め難いのである。尤も被告人の陳述によれば右実包は右猟銃に使用するものであると述べているのであるが、元来従物とは民法第八七条によれば「物の所有者が其の物の常用に供する為自己の所有に属する物を以て之に附属せしめた場合」をいうのであり、常用とは社会経済上継続して主物の効用を全うせしめる仂きをいい附属とは物理的意味に於て附属せしむるか又は之と同視し得べき状態に於て附属せしむることをいうものと解される。故に或る物の効用に供する為であつても場所的にへだたつた場所に置かれてあつて常用に供せられいてないと認められる如き場合に於ては主物従物の要件を欠くのである。今本件についてみるに、沒收に係る実包は本件公務執行妨害罪に際し判示猟銃に装填されたものでなく又被告人が其の身辺に携えていたとも認められないこと前記の通りでありその他平素被告人が之を猟銃の常用に供していたと認むべき点を発見し難いから右実包を本件猟銃の従物であると判断するについては躊躇せざるを得ない。即ち本件実包を沒收するについては充分なる理由がないことになるから原審が之を沒收したのは相当でない。